世界中の美術館を回ったわけではないので、一番監視が厳しいとは言い切れませんが、日本の美術館ではほとんど写真を撮れないし、模写をしている画家風の人や、子供達の姿をみたことがない。
ルーブルではモナリザも撮り放題だし、ミロのヴィーナスも柵もなく手を延ばせば触れるのに、近くには監視の人もいない。
そんな日本の美術館でも、最近は、1~2か所だけ撮影しても良い部屋をつくっていることが多い。
ミュシャ展の時にもありましたが、ほとんどの場合、写真を撮りたいと思うほどではなかった。
今回は、エピソードが面白かったので撮ってみた。


この彫刻は、撮影しても良いという最後の室にあった『十字架を持つキリスト』という作品。
ミケランジェロが、注文を受けて彫り始めたところ、キリストの左頬のほうれい線に、くっきりと大理石の黒い模様が当たってしまうという奇跡的なアクシデントがおこって、途中で作るのをやめてしまったという作品。
途中で放棄されたこの作品は、注文主に買い取られ、後に完成品として売りに出され、数奇な運命をたどったという解説がありましたが、何分、昔のことなので、誰が完成させたのかはわからないにしても、ミケランジェロがあらたに作り直した同じものが、本当にこんな形なのか、本人が作った完成品の写真もなければ説明もない、疑問ばかりが残りました。(説明を見落としたのかなー?)
たぶん、ミケランジェロが完成させたものを見て、放棄したこの作品を誰かが完成させたとしか思えませんが。
ダ・ヴィンチも得意の馬の彫刻を作ろうと思って、何枚も彫刻のためのデッサンを描いたらしいけれど、ついに彫刻を作ることはできなかったそうで、そんなダ・ヴィンチをミケランジェロは皮肉をこめて、いくら描いてもつくれないだろー!
と言ったかどうかは、弟子や美術家が書いているだけだから、本当のところはわかりません。
壁画も彫刻も壮大な建築デザインまでなんでもできちゃうミケランジェロは、時の権力者の要求に断り切れず、あれもこれもと引き受けてしまって、それでもいつか作ろうと義理堅いかと思えば、若い頃には政情の変化に逃げ出したり、決して豪放なイメージではなく、仕事は神でも人間味あふれる人のようなのです。
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- 2017/07/25(火) 00:08:51|
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三菱一号館美術館は、大好きな美術館の一つ。
秘密にしておきたい美術館でもあります。 東京駅から徒歩5分というアクセスも良い。
なかなか良い企画の展覧会があって、マニアックな画家をとりあげたりするのですが、今回のあまりにも有名な巨匠二人展というのに、何時間待ちの行列とならないところが不思議でした。
なぜなら、所謂誰でも知っている名画というメインディッシュがないからなのです。なので、メディアもあまり騒がない。
すべてはデッサンからはじまるという地味な企画のせいでしょう。
学生の頃から人体を描くには服の中の身体を描け!身体を描くには、骨と筋肉を描け!と教育されてきましたが、2人とも死体を解剖してまでそれを記録、デッサンしたのです。
できることなら馬の解剖に立ち会いたいと思うマニアックな私には、大変納得できる展示でした。
漢字を覚える前からダ・ヴィンチを馬の絵の神様として、その後色々な画家を知っても別格扱いにしてきましたが、昨年、バチカンのピエタを実際に見てから、壁画、彫刻、建築に至るまで、超人的なミケランジェロにすっかり魅了されてしまった私には、まさに確認のための展覧会でもありました。
なぜミケランジェロに今まで興味がなかったか? それはあの最後の審判のような筋肉モリモリのたくましいキリストの絵画に違和感があったからで、ミケランジェロのごつすぎるイメージに拒否反応があったからだと思います。
ところが、ピエタのやさしさ、美しさにひかれ、画集を読み進むうちに、ミケランジェロの人間性のイメージが良い意味ですっかり覆されてしまったのです。
やはり馬のデッサンはダ・ヴィンチの勝ち! でも360度全方向から描け、立体にできる彫刻家ミケランジェロは神!
物理的にも体力的にも彫刻のほうが優れていると思うが、ミケランジェロの絵画よりもダ・ヴィンチの絵画のほうが好き!
そんな素朴な疑問は、ルネッサンス時にもあったようで、絵画と彫刻とはどちらが優れているか?というパラゴーネという論争
になったらしい。
ダ・ヴィンチは絵画こそ優れていると言ったそうだが、ミケランジェロはそんな論争をする意味はないと言ったと伝えられている。
23歳も年下のミケランジェロのほうが大人の対応のような気がしてならない。
- 2017/07/24(月) 02:12:00|
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レオナルドだけでは、どこかの映画俳優みたいなので、
『ダ・ヴィンチとミケランジェロ展』のほうが、響きが良いのでは?
と考えて、まー仕方ないのかと思いました。
ダ・ヴィンチというのは、ヴィンチ村のという意味で、日本でも昔、屋号や地域をつけて、川北の権蔵さんと呼んだように、ヴィンチ村のレオナルドさんという呼び名がそのまま使われているわけです。
とはいえ、ミケランジェロには、ブオナローティという立派な苗字があるのに、レオナルドさんの苗字はどうなっているのでしょう?
久々の東京駅丸の内口

敷石が広々と敷き詰められ綺麗になっていました。

丸の内口から徒歩5分、近代的なビルの中に突然レトロなビルの三菱一号館美術館はあります。
中庭は都会のオアシス。緑にあふれた小さな公園のような空間は、オープンテラスのカフェや小さなステージがあり、時には演奏会などにも出会えたりします。
猛暑の中、ドライミストでお出迎え。

- 2017/07/24(月) 00:35:38|
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